[1998]
夏休みが開け、チェコGPに向かうべく、我々はTSRUKの社屋前に集合し出発準備。
そういえば、エスペース(Renault Espace)の写真を、今年は1枚も撮ってないなぁと、夏休みにノントラブルで8,000kmを走破してくれた我らが愛車の写真をパチリ。
そもそも、これがこの長旅の始まりだった……。
オートルート(Auto Route Express Europa:Microsoft社製のカーナビソフト)によれば、ブルノまでは1,560km。
チェコは遠い。
明けて次の日の朝8時に、再びルノーサービスに赴く。再びエスペースはユニックに積み込まれドーバーへ。
ドーバーのフェリー埠頭でユニックから降ろされ、今度は牽引されてフェリーに載せられ、我々もフェリーに乗り込む。
カレー着は(時差があるので)お昼。
またしても牽引されてカレーにあるルノーサービスへ。
しかしそこは2時まで昼休み。またしても途方にくれる我々であった。
昼休みが終わって話をする。エンジンの状態は昨日のうちに伝わっているので、エンジンを載せ換えるということらしい。代替えのレンタカーでブルノまで行き、その後カレーに引き返して来て、本来のレンタカーをピックアップするということになった。
GPのスケジュールはブルノ→イモラ→カタルニアなので、我々もそのように移動する予定だったのだが、ブルノ−イモラ間に、ここカレーまでの往復が加わってしまった。
AVISで別のエスペースをピックアップしたのが3時半。
ひたすら走る。
フランス→ベルギー→ドイツ。
とにかく走る。
すでに陽は落ちた。予約してあったプラハのホテルをキャンセルし、モーテルチェーンの本を頼りにエタップを電話で予約。エルフルトにほど近いアウトバーン4号線近くの宿で宿泊。
ここからブルノまでは約600km。
チェコは遠い……。
朝6時に起床し、エタップホテルの朝食(一人分210円ほど)を食した我々は、予定通り7時に出発し、ニューエスペースを駆ってアウトバーン4号線を西に向かう。
第一経由地のチェムニッツに到着し、下道174号線をドイツ-チェコ国境へ。しかし、国境の約4kmほど手前で174号線が閉鎖されている。
ここで昨夜のうちに空路プラハに入っているアベちゃんに連絡。アベちゃんをホテルでピックアップする時間が遅れますと。
国境沿いに迂回して、95号線で越境することにする。
国境のチェックポイントは長蛇の列。その列に並ぶこと20分で、我々のイミグレーションチェック。まずはドイツ側の出国手続き。パスポートを出すと、車(ニューエスペース)の書類も出せとのこと。素直に出して待っていると、ビッグプロブレム!?だと。
なんとニューエスペースの保険は西ヨーロッパでしか有効でないと、書類に書いてある。これでは越境許可は得られない。
まずニューエスペースを借りたカレーのAVISに電話するが、「俺はチェコに行くなんて聞いてない、その車ではチェコに行くことはできない」と埒が開かない。
再びアベちゃんに連絡して、バスなりなんなりでブルノまで行ってちょうだいと。
しょうがないので、いちばん近い大きな街であるチェムニッツに引き返し、新しいレンタカーを借りることにする。近場にマクドナルドを見つけたので昼飯。
チェムニッツのセントラムでAVISを発見。聞いてみるが、チェコに行けるレンタカーは持ってないとのこと。このへんは他の言語が通じないので、ほとんど覚えてないドイツ語での会話である。2件目のHertzに行ったところ、この街には4件のレンタカー屋があるが、どこもチェコに行ける車は持ってないということらしい。
とりあえず、
と、3つの選択肢が残された。
ここに留まっていても仕方ないのでニュールンベルグ方向へ走る。
会社に電話すると、イアン(TSR社員:イギリス人:英語しか話さない)が、「ニュールンベルグ空港のSixtには、チェコに行けるレンタカーがある」と教えてくれたので、そこの電話番号を聞いて、電話する。イアンにニュールンベルグを「ヌーンバーグ」と発音され、はじめは会話にならなかったのだが
さすがに空港だけのことはあって、英語が通じる。確かにチェコに行けるレンタカーはあって、夜の11時までピックアップ可能ということ。我々はそのままニュールンベルグを目指し、アウトバーン9号線を南下する。
午後5時、ニュールンベルグの空港にてフォードモンデオV6ステーションワゴンをゲットし、アウトバーン6号線を東に走る。
ブルノまで480km。
チェコは遠い……。
A6からA93、そして下道14号線でピルセンを目指す。
なんのことはない国境のチェックポイントはパスポートチェックのみで済み、保険のチェックない。無ければ大きな問題が起こり、準備万端の時は必要もない。まるでレースの時のスペアパーツのようだ。
無事チェコに入国し、一つ目のサービスエリアで高速のステッカーを購入。そのまま走り続けてプラハを過ぎ、晩飯を食いにSAに寄る。運転をぼくに変わってスタート。
「いい加減もう何もないよね」と会話をしながら、最後の懸念であったガソリンを補給。
順調に170km/hアベレージ安全運転で走り、ブルノまで100kmを切った。
いきなり右のリアが流れる。
バーストだぁ!!
サービスエリア入り口まで、だましだましモンデオV6を走らせ、高速脇の芝生の上に乗り上げタイヤ交換。
笑うしかない。
交換を終わらせ再スタート。もう、みんな腹を抱えて笑っている。
ブルノのサーキットに到着。午後10時。
チェコは遠かった………。