GSM(the Global System for Mobile Communications)とは、ヨーロッパとアジア(日本を除く)、オセアニアで主に使われている遠隔通信(平たく言えば携帯電話ネ)の方法である。
 GSMの通常通話以外のデフォルトのサービスとしては以下の2つが代表的な物である。
●SMS(the Short Message Service)
 160文字までのショートメッセージをやりとりできるサービス。いわゆる10円メールみたいなもの。メッセージは送ってから72時間有効である。メッセージを送ったときに電話の電源を切っているなどしていても、72時間の間に受信できる状態になれば、メッセージが飛んでくる。
●Call Divert
 いわゆる留守番&転送電話機能である。
 設定によるのだが、
 ○電源を切っているときと携帯の圏外にいるとき
 ○ベルが鳴っても取らなかったとき
 ○話し中の時
 ○データ通信がかかってきたとき
 ○FAX通信がかかってきたとき
 ○すべての受話
 という項目別に、ボイスメールボックスに保管するのか、他の電話番号に転送するのかを設定できる。当然なにもしないという設定もありである。
 ボイスメールボックスに伝言が入ると、伝言が入りましたというメッセージがSMSで送られてくる。

 ハードウェアとして必要な物は、まずGSM対応の電話機。ヨーロッパやアジア(日本を除く)の空港の免税品店や街の電気屋で売っているのはまずこのGSMなので、買っても日本では使えないので注意が必要である。まぁデザインとかを見ると、やはり日本の携帯にはかなわないというのがぼくの感想ではある。
 次いでSIM(Subscriber Identification Module)カード。これには2種類の大きさがあって、クレジットカード大のものとチップ型と呼ばれる2cm×3cm程度のものである。前者はモトローラがよく使っており、後者はノキアなど携帯が小型化されて普及してきた。
 つまり電話機本体は電話をかけるためのハードそのものではあるが、それだけでは何の意味もなさない。SIMカードを本体に入れることによって、初めて電話機として機能するのである。

 まぁ実物を見てみよう。
Nokia 6110 Nokia 6110という機種である。
右のタバコはスペイン産の「フォルトゥーナ」(幸運というような意味である(^^;)。普通のキングサイズのタバコである。

Nokia Back side 裏にバッテリーが付属し、それをスライドさせて外すとSIMカードを挿入する部分が見える。

SIM Card Holder SIMカードホルダーをスライドさせて爪を起こすと、簡単にSIMカードの取り外しができる。

SIM Card 右の写真が2枚のSIMカードである。そのうち左の青いのが1999年に購入したイタリアのwindというプリペイドのSIMカード。右の赤いのがイギリスvodafoneのSIMカードである。

●プリペイドSIMカード
 通常のSIMでの通話料金は、日本と同じく後払いとなり、クレジットカードなり銀行口座から引き落としとなる。使わなくても基本料金がかかり、それなりに手続きとかがめんどくさい。これに対しSIMカードにプリペイド機能を持たせたものもある。このwindの場合、初期投資が10万リラ(7千円くらい)で、その金額分の電話がかけられる。通常初期投資にかかる回線使用料とかが無料となる上、基本料金も発生せず登録手続きも比較的簡単である。

Remaining Unit 「*123#」とダイヤルすることで残高が確認できる。この表示は、残りが68510リラ分、イタリア国内通話なら約3時間50分の残りがあるという表示である。
 残高が少なくなったときは、近くの電話屋(ドコモショップみたいなところ)に行って、追加する分の金額を払って、リチャージする。最後のリチャージから1年間がこのSIMカードの有効期限となる。
 ローミングサービスの関係から、イタリア国外ではwindは使えない。だから、その際はイギリスvodafoneのSIMを使うことになる。

 なぜイギリスの携帯電話が他の国でも使えるのかというと、詳しいことは知らない(^^;。でもそれこそがGSM(のいいところ)なのである。ローミングによってGSM仕様のネットワークが存在すれば、発信に関してはその国の携帯電話と同じ扱いとなる。
 受信に関してはちょっとややこしい。誰かが日本からぼくのイギリスの携帯に電話したとすると、日本→イギリスの電話代は電話をかけた誰かが払う。だから、ぼくがイギリスにいる場合は普通の電話である。しかし、その時ぼくがシンガポールで携帯のスイッチを入れていて受信したとする。と、イギリス→シンガポールの電話代は、電話を受けたぼくが払うことになる(あぁえらいこっちゃ(^^;)。
 で、1999年はチームガレージがイタリアにあって、イタリアで送受信する機会が多いためと、windという後発会社の通信費が安いためにイタリアのSIMカードにしたのである。

 もうひとつGSMの特徴として、ネットワークを選択できるというのがあげられる。日本だとちょっとぴんとこないのだけど、携帯電話を持ってると、NTTだろうがIDOだろうがTU−KA−だろうがさらにはKDDだろうがDDIだろうが、いちばん安い料金のネットワークを選んで使えるのである。
Network Selection ネットワーク選択の画面を呼び出して、安い(よりよい)サービスのネットワークを選んでローミングすればいいのである。
 各国とも数社がサービスを競っており、
 イタリア  TIM   omnitel
 フランス  sfa   Itinelis
 スペイン  MoviStar  Airtel
 ドイツ   D1-Telekom D2-Privato
 などがある。

 余談ではあるが、衛星電話として売ろうとしている「イリヂウム」も多くの場合はこのローミングサービスによって送受信を行う。よほどの僻地へ行かない限りは、直接衛星回線を使うことはないのである。

 さて、いくら電話代が安くなったとはいえ、日本とヨーロッパで肉声でのやりとりというのはなかなかコストがかかる。そこで登場するのが電子メールである。
 まずPCと携帯を繋ぐ手段を考えなければならない。通常はPCMCIAカードを用いるのが一般的だが、このNOKIA6110はCOMポートもしくは赤外線ポートを介してPCと繋がる。

IR port 電話機の上部の窓が赤外線送受信部である。モデム機能を内蔵しているため、COMポートと専用線で繋ぐか(Win95&98)、赤外線ポートで繋ぐか(Win95)すれば通信が可能となる。
Nokia data suite 2.0 右はノキアデータスイト2.0の画面である。このソフトとPC接続専用線がセットになって販売されている。イギリスでの購入価格は100ポンド(2万円(゜o゜;)高い)。バージョン3は通信速度が14.4kに対応するらしいが、いまは9600bpsである(;_;)。

Nokia PC Composer これも余談となるが、データスイト2.0からは「PCコンポーザー」という着メロソフトも付属してきている。このソフトで作曲するもよし、またMIDに対応しているため、気に入ったMIDを着メロにコンバートすることもできる。ちなみにぼくのGSMの着メロは「あなたにサラダ」DREAMS COME TRUEである(^^;。

 さてPCで通信できる状態にはなった。次はプロバイダなりの通信ポイントである。msn、AOL、IBM−netなどが有名処ではあるが、ぼくの場合は昔から使っているニフティを使うことが多い。で、ここでも登場するのがローミングサービスだ。
 ニフティのローミングにも大きく分けて二つある。ひとつはコンピューサーブを利用する方法。これはcsn_oth.phnというファイルが、ニフティマネージャーのフォーラム等からダウンロードできる。もう一つはGRICというローミングサービス。これの詳しい接続ポイントはGRICサービスをみてもらうとして、いずれも近場のアクセスポイントからニフティにキセルさせてもらってるようなものである。
 TCP/IPが確立できている回線からtelnetでアクセスするというのも手である。AOLのアクセスポイントに接続しておいて、telnetでニフティを覗くなんてこともできるのではあるが、課金を考えるとばからしい。
 ことメールの受信に関してはPOP3に対応したので、なんとでもなるという感じではある。メール送信がSMTPに対応してくれると言うこと無いのだけど……。
 まぁとにかく9600bpsなどという10年近く前の通信スピードなので、キャラクターベースがいちばんである。アウトルックエキスプレスのデフォ設定でhtmlのメールなんか送って来られたり、平気で何百kバイトの無圧縮ファイルを添付されたりすると悲しい(^^;。

 まぁしかしですね、ヘレスのコントロールタワー3階にPC持ち込んで通信していた頃に比べれば隔世の感があります。(T^T)感涙