Type3(プロリンク)
各点説明
- O
- ピボット(原点)
- A
- リンクプレートとサスペンションの結合部
- B
- リンクプレートとリアフォークの接合部
- C
- リンクプレートとロッドの接合部
- D
- ロッドとシャーシ部との接合部
- E
- シャーシ部とサスペンションの結合部
- F
- 点Bから線分OG(リアフォークセンター線)に下ろした垂線の足
- G
- リアアクスル
- S
- 点Bから直線CDに下ろした垂線の足
- T
- 原点から直線CDに下ろした垂線の足
- U
- 原点から直線AEに下ろした垂線の足
- V
- 点Bから直線AEに下ろした垂線の足
- t
- リアフォーク(OG)とx軸のなす角
各点の添字x、yはそれぞれのx座標とy座標。
座標は直交座標でピボットを原点としマシン水平後方がx軸の正、路面への鉛直線方向がy軸正。
- f1
- アクスル荷重
- f2
- リアサス反力
- f3
- リアフォークとリンクプレート接合部の内部応力
- f4
- ロッドの荷重(この荷重が正の場合にテンションロッド、負の場合にプッシュロッドとして働くとする)
- f5
- ピボットが受ける荷重
各力の添字x、yはそれぞれの力のx軸方向とy軸方向の分力。
既知の値
E(Ex,Ey):シャーシ部とサスペンションの結合部座標
D(Dx,Dy):シャーシ側ロッド取り付け位置座標
AB,BC,AC:リンクプレート三辺の長さ
CD:ロッド長
OG:リアフォーク長
OF,BF
Gy0:リアアクスルの初期位置(mm)
k:スプリングレート(kgf/mm)
ini:プリロード(mm)
求める値
リアアクスルが j mmストロークしたときの
ratio:リンクレシオ
stroke:サスストローク
f1(f1x,f1y):アクスル荷重
f2(f2x,f2y):サス反力
f3(f3x,f3y):点B内部応力
f4(f4x,f4y):ロッド荷重
f5(f5x,f5y):ピボット荷重
考え方
まずピボット(原点O)を瞬間中心と考える。
ここで右図に於いて、点Eから点Aを見たとき原点Oが右にあるとき1を、直線EA上にあるとき0を,左にある時-1を返す関数 RL(Ex,Ey,Ax,Ay,0,0) を考え、
a = RL(Ex,Ey,Ax,Ay,0,0):点Eから点Aを見たときの原点Oの位置
b = RL(Cx,Cy,Dx,Dy,0,0):点Cから点Dを見たときの原点Oの位置
以降RL(Cx,Cy,Dx,Dy,0,0) を RL(C,D,O) という簡易表記にする
とすると、
f1 * Gx = a * f2 * OU + b * f4 * OT ───@
が成り立つ。
関数RLで考える符号は、右図に於いて原点を中心として時計回りの力を@式の右辺に於いて正とするものである。
次に点Bを瞬間中心として△ABCを考える。
c = RL(B,A,E) * RL(B,C,D)
とすると、
f4 * BS = c * f2 * BV (ロッドの説明参照)
が成り立ち、f4について解くと
f4 = c * f2 * BV / BS ───A
これを@式に代入して
f1 * Gx = a* f2 * OU + b * f2 * BV * OT / BS
よって
リンクレシオ:ratio = f1/f2 = (a * OU * BS + b * BV * OT) / (Gx * BS)
実際に計算する
計算内容はエクセルシートを見ながらのほうがわかりやすい(かも)
Gy = Gy0 - j
t = Asin(Gy/OG) Asin:アークサイン
Gx = OG * cos(t)
点F(Fx,Fy)を求める
Fx = OF * cos(t)
Fy = OF * sin(t)
点B(Bx,By)を求める
∠FOB = Atan(BF/OF)
OB = Sqr( BF^2 + OF^2 )
よって
Bx = OB * cos(t + ∠FOB)
By = OB * sin(t + ∠FOB)
点B(Bx,By)を中心とし半径BCの円と点D(Dx,Dy)を中心とし半径CDの円の交点C(Cx,Cy)
Cx = enkoten(1,n,Bx,By,BC,Dx,Dy,CD) enkoten:エクセルシート参照
Cy = enkoten(2,n,Bx,By,BC,Dx,Dy,CD)
点B(Bx,By)を中心とし半径ABの円と点C(Cx,Cy)を中心とし半径ACの円の交点A(Ax,Ay)
Ax = enkoten(1,n,Bx,By,AB,Cx,Cy,AC)
Ay = enkoten(2,n,Bx,By,AB,Cx,Cy,AC)
それぞれ2値を取るため、計4つの解が存在するので、うちひとつを選択する。
この時サス長は
AE = Sqr((Ax-Ex)^2 + (Ay-Ey)^2)
となり、j=0 の時のサス長(サス自由長)を AE0 とする。
よってサスストロークは
stroke = AE0 - AE
二点A、Eを通る直線と原点Oの距離
OU = kyori_b(O,A,E)
二点C、Dを通る直線と原点Oの距離
OT = kyori_b(O,C,D)
二点A、Eを通る直線と点Bの距離
BV = kyori_b(B,A,E)
二点C、Dを通る直線と点Bの距離
BS = kyori_b(B,C,D)
各点の位置関係
a = RL(E,A,O):点Eから点Aを見たときの原点Oの位置
b = RL(C,D,O):点Cから点Dを見たときの原点Oの位置
c = RL(B,A,E) * RL(B,C,D)
レシオを求める
上記より
ratio = (a * OU * BS + b * BV * OT) / (BS * Gx)
が計算される
次に荷重計算
サス荷重
f2 = k * (stroke + ini)
f2x = f2 * ((Ax-Ex) / AE )
f2y = f2 * ((Ay-Ey) / AE )
アクスル荷重
f1 = f2 * ratio
f1x = 0
f1y = -f1
テンションロッド荷重
A式より
f4 = c * f2 * BV / BS
f4x = f4 * ((Dx-Cx) / CD )
f4y = f4 * ((Dy-Cy) / CD )
リンクプレート(△ABC)の釣り合いを考えると
f2x + f3x + f4x = 0
f2y + f3y + f4y = 0
よって
f3x = -(f2x + f4x)
f3y = -(f2y + f4y)
f3 = Sqr(f3x^2 + f3y^2)
全体の釣り合いを考えると、
f1x + f2x + f4x + f5x = 0
f1y + f2y + f4y + f5y = 0
なので、
ピボット荷重
f5x = -(f2x + f4x)
f5y = f1 - (f2y + f4y)
f5 = Sqr(f5x^2 + f5y^2)
検証
リンク比に対する検証
アクスルストローク j が j1 mmから j2 mmに変化したとき、リアサス長が AEj1 mmから AEj2 mmに変化したとすると、ストローク量 (j1 + j2)/2 mm時のリンク比の近似値として、
ratioΔ = (AEj2 - AEj1)/(j2 - j1)
が算出される。
これと、上記で算出した ratio を比べることで簡易的な検証ができる。
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